再エネ買い取り・電力危機への備えは十分か‼

近年の日本では夏冬における電力危機が、毎年懸念されるようになっています。

ですが現実には大量の再生可能エネルギー電力が、蓄電により高価格時間帯に活用されることなく無駄に捨てられています。

太陽光が強い日中の時間帯では、供給過剰のため電力の市場価格が下落し、下限価格の1キロワット時あたり0.01円に達することがある。

この状況では送配電事業者は供給量を需要量に一致させるため、主に再エネ発電事業者に強制的に出力抑制を命じることになります。

蓄電池を設置している発電事業者は低価格の日中時間帯に発電した電力を蓄電する為

高価格の夕方以降に放電して市場に供給する「時間シフト」をすることで利益を得られます。

時間シフトは主に日中の低価格時間帯における電力市場への供給量を減らすので、市場価格の下落を抑制することができ、

市場に任せておけば出力抑制の発生頻度も減らすことができます。

特に定置型蓄電システムの価格が年々10年前の約1割まで下がった現在ではそうなります。

この結果、FIT事業者は市場価格が下がっても固定価格で買い取ってもらえるので、大量に市場に供給し続ける。このため市場価格はさらに下がる。

ついには市場価格が下限値に達して、強制的な出力抑制が実施される。FIT制度は、現在の日本の高頻度の出力抑制とそれが生む再エネの無駄遣いの大きな原因となっております。

一方、22年に新設された再エネ補助制度の「FIP制度」は、事業者に時間シフトをするインセンティブ(誘因)を与える。

この制度は市場価格の水準に関係なく一定額の補助金を事業者に与えるため、買い取り価格は市場価格と平行に動きます。

FIP制度の下では、市場価格に応じて事業者が直面する買い取り価格が変動するから、蓄電池を利用した供給量の時間シフトを促す。

従ってFIT事業者をFIP事業者に転換させられれば、蓄電池を活用した時間シフトがより広範に行われるようになるのである。

つまり日中の豊富な電力は、低価格のため蓄電されて、市場への供給量が自主的に抑制される。そのため強制的な出力抑制の頻度が減り、電力の無駄遣いが削減される。

さらに価格が低い時にはたとえ下限まで下がらなくても、FIP事業者には蓄電をする動機がある。このため逼迫時間帯の市場価格はその分抑えられる。

現在も政府はFITからFIPへの転換を可能にする制度を用意している。

それは、現在のFIT制度の下で支給されるFIT補助金と同程度のFIP補助金が支給されることを目指す制度になります。

この転換制度の活用事例は少ないため、現行のFIP制度の本質的でない要件が障害となっているようです。

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